質問にお答えします。 透析の導入を控えている方にとっては、透析への理解をより深めていただくために、透析を受けている方にとっては、適切な自己管理を継続していただくために、お役に立てば幸いです。
腎臓はどのような働きをしているのですか?
腎臓は尿を生成して、老廃物の除去、水分や電解質の調整、pH(体の酸性とアルカリ性)のバランスの調整、ホルモンの産生などを行っています。この働きが十分にできなくなった状態を腎不全といいます。
血液透析とはどのような療法ですか?
血液透析は、血液の中から老廃物や余分な水分を取り除き、カリウムやリンなどの電解質、pHバランスを調整します。腎臓の主な働きを代行し、腎不全の方の快適な生活をサポートする療法です。
無酢酸血液透析とは何ですか?
一般的な透析液は、電解質やpHなどが調整されたバイカーボ(重炭酸)透析液と言いますが、pHを調整するために若干の酢酸が入っています。この酢酸が一部の方には血圧の低下や脱力感、頭痛、嘔気などの症状を引き起こす原因になります。そこで新しく作られたのが、AFBF(アセテートフリーバイオフィルトレーション)という「無酢酸血液透析療法」です。当クリニックではバイフィル、カーボスターを用い、個人用血液透析装置でこの治療を行っています。
血液透析では1回当りどのくらいの水を使うのですか?
血液透析では1分間に500mLの透析液を使用します。1回の治療が3〜4時間ですから、90〜120 Lの透析液が必要となります。
ダイアライザーとは何ですか?
ダイアライザーは血液透析の際に腎臓の代わりをする装置、いわば人工腎臓です。目に見えない無数の穴が開いた、半透膜というストロー状の細い膜がたくさん束ねられています。その中を血液が通り、老廃物や水など体に余分な物質のみが取り除かれる仕組みになっています。
ダイアライザーが人によって違うのはなぜですか?
ダイアライザーは種類によって材質・有効膜面積・血液容量・生体適合性・滅菌法などが異なり、患者様の体格・病状などから判断して適切なものを使用します。血液透析導入初期の患者様には不均衡症候群を抑えるため、低効率のダイアライザーから使用を開始します。効率を上げる必要がある患者様には高効率のダイアライザーを使用しますが、膜や膜孔の大きさによって物質の除去性能が違うため、当クリニックではさまざまなダイアライザーをご用意し、各患者様に合わせて選択しています。
シャントの管理で注意すべき点は何ですか?
血液透析を行うためには、大量の血液を確実にダイアライザー(人工腎臓)へ送るため、体内に動脈と静脈をつないだシャントを設けます。シャントを長持ちさせるためにも、シャント音とスリル(ザーザーと響くような拍動)を確認すること、シャント側の腕に負担をかけないよう心がけて閉塞を予防すること、常に清潔にして感染を予防することなどが大切です。
シャントはどのくらいもちますか?
すぐに閉塞してしまう方から20年以上使用できる方まで、一人一人違いがあります。日頃のシャント管理が大切ですが、管理をしっかり行っていても閉塞することがあります。特に糖尿病の方や動脈硬化のある方は、血管がつまりやすいので注意が必要です。毎日、シャント音とスリル(ザーザーと響くような拍動)を確認し、少しでも異常を感じたら通っている透析施設に連絡してください。
シャントがあると、重い荷物を持ってはいけないのですか?
無理をしないで持てる重さであれば問題ありません。最も注意すべきことは、シャント血管の圧迫です。シャントのある腕で血圧測定や腕枕をしたり、バッグをかけたりしてシャント血流を妨げないようにしましょう。
週2回透析では無理でしょうか?
週3回、1回4時間透析をお勧めします。通常腎臓は毎日24時間働いていますが、末期腎不全で透析をされている方は、透析療法を受けている時しか腎臓の働きを代替することができません。週2回透析で維持されている方もいますが、体に溜まった毒素や余分な水分は早めに除去したほうが体への負担は少なくて済みますし、食事・水分管理も緩和されます。
透析療法には薬での治療も必要なのですか?
腎臓の働きを補うために、注射や内服薬が必要になります。たとえば、透析中に血液が固まるのを防ぐ薬、貧血を改善する薬、血圧を下げる薬、カリウムの排泄を促す薬、リンとカルシウムの代謝を整える薬などです。それぞれの薬の詳しい働きや服用する理由は、医師や看護師によく聞いてご理解ください。
透析をした日に仕事はできますか?
透析をすると疲れを感じることがありますが、重労働でなく無理をしなければお仕事をすることは可能です。
透析を受けた日は、入浴してはいけないのですか?
感染を起こす(針穴からばい菌が入り炎症を起こす)危険と、針穴から出血する危険があるので、入浴は避けてください。透析で使用する針はとても太く、何度も同じ部位に刺すので、針穴が大きくなっていることがあります。また、シャントの血流は他の静脈より多いため、感染を起こすとシャントが使用できなくなるだけでなく、全身に炎症が広がる危険があります。透析を受けた日は、シャント部以外の身体を拭く程度にお願いします。
食事で心がけることはありますか?
腎不全の方は、体内に溜まってしまう水分や塩分、カリウムやリンの摂取を制限する必要があります。一方で、体の燃料となるエネルギーの三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)をバランスよく摂らなければなりません。食事は自己管理の中心となるので、ご自分にとっての適切な摂取量を把握するようにしましょう。
旅行はできますか?
国内旅行も海外旅行もできます。国内には血液透析施設が4,000以上あるので、ご旅行やご出張の際、事前に目的地の施設に予約をすれば透析が受けられます。国内の場合、自己負担金として1万円を旅行先の施設に支払うことになりますが、後日領収書を提出すれば還付されます。また、海外にも透析施設はあるので、透析が受けられます。しかし、ご加入の健康保険の種類によりますが、全額自己負担になることが多く、1回4〜5万円前後の医療費が必要になります。ご加入の健康保険の担当者にご確認ください。
温泉に入っても大丈夫でしょうか?
透析を受けた日以外は入浴しても大丈夫です。ただし、長湯は起立性低血圧により、立ちくらみやめまいを起こしやすくなりますのでご注意ください。
合併症を起こさないために気をつけることはありますか?
透析を行っていると、いろいろな問題や合併症が生じることがあります。以下のような点に注意して予防を心がけてください。

・ドライウェイト(※)の3〜5%以内を目安に、体重増加を抑える。
・ゆっくりと除水しながら、無理のない透析を行う。
・透析の効率を踏まえて、医師から指示されている透析時間と回数を確保する。
・栄養のバランスを考えて食事をする。
・薬の服用は、医師の指示をしっかりと守る。
・うがいや手洗いなどを励行し、感染症を予防する。
・自宅での血圧測定など、自分の体の状態を把握する。

(※)ドライウェイト:体に余分な水分の貯留がなく、血圧が安定し、生活や仕事をするうえで、体調がよいと感じられる体重。

いつまで透析をすればいいのですか?
末期腎不全になると腎臓の働きが回復することは期待できず、治療するには腎臓を移植するしかありませんので、生涯透析療法が必要になります。腎臓移植には、ご家族や配偶者からの生体腎移植か日本臓器移植ネットワークにご登録いただき、献体腎移植を受ける方法があります。移植腎の生着率は向上しており保険も適応されるので、ご検討されることをお勧めします。
透析の治療費はどのくらいかかりますか?
透析療法は社会保険制度が確立しています。医療費助成制度の手続きをとれば、年収によって違いがありますが、自己負担として最高でも2万円になります。詳しくは、透析を受けている施設にご確認ください。

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